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双六工場日誌

平凡な日常を淡々と綴ります。

メイドカフェが気になっている人におすすめの薄い本、『メイドカフェ批評』

f:id:sechiro:20130831160152j:plain:right:w240 僕の周りを見ていると、メイド喫茶に興味があるけど、最初に一歩が踏み出せない人が一定数います。

そういう人をメイド喫茶を紹介すると、かなりの確率でお店が気に入ってリピーターになってくれるのですが、そういう紹介なしだと、今から一人でメイド喫茶に行き始めてみるのはなかなかハードルが高いことのように思われているようです。

また、一言でメイド喫茶と言っても千差万別で、最初に入ったお店がその人が期待していたものと違うと、それ以降、「メイド喫茶」というジャンルごと興味がなくなってしまうということもあります。

そんな中、今年のコミックマーケット『メイドカフェ批評』という評論本が出ました。この本は、メイド喫茶という存在についてを徹底的に掘り下げた、おそらく史上初のメイドカフェの批評集です。

この本は、これからメイド喫茶に行ってみたいと思っている人、行ってみたいと思っていたけど手が出せなかった人、行ってみたものの幻滅して行かなくなってしまった人、そして、メイド喫茶について熱く語りたい人などに特のおすすめできる薄い本*1です。

この本の内容を押さえていれば、メイド喫茶に行ってはみたものの期待はずれとなってしまうことも少なくなると思います。

また、一冊の本として内容もバランスよく、構成もよく考えられていて非常に丁寧に編集されていて、メイド喫茶に興味がない人でも読み物として楽しめると思います。

可愛い表紙ですが、文字びっしりの硬派な内容なので、そこはご注意ください(笑)。

初版はすでに完売してしまったようですが、増刷がかかって、Comic ZINなどの各種同人ショップでも再び手に入るようになったので、僭越ながら僕から簡単に本の内容を紹介したいと思います。

内容紹介

さて気になる内容ですが、この本は「状況編」、「論考編」、「エッセイ」の3パートで書かれています。以下のそれぞれの簡単に内容を紹介します。

1.状況編

「状況編」とまとめられた最初の3編は、メイド喫茶に行ったことがない人や今のメイド喫茶の状況を俯瞰したい人に特におすすめです。膨大な資料や取材した内容が非常にコンパクトにまとめれていて、今のメイド喫茶の全体像をつかむことができます。これだけのものを調べるのは、相当大変だったと苦労が忍ばれます。

具体的なメイド喫茶の紹介やレビューではないので、これで全体像を掴んだあとに、気になる店舗のことを調べたり、実際に行ってみたりするのがいいと思います。

ここには以下のような記事が載っています。

  • メイド喫茶、はじめての選び方ーーメイド喫茶ポジショニングマップ
    • 秋葉原におけるメイド喫茶の歴史や位置づけ、それぞれの店舗を俯瞰したポジショニングマップが掲載されています。メイド喫茶にこれから行ってみようという人は、読んでおいて損しない内容だと思います。
  • THE HISTORY OF MAID CAFE
    • メイド喫茶の過去が年表と時々の転機となったトピックとともにまとめられています。
  • メディアが伝えるメイドイメージ
    • 英国メイド研究をしている筆者さんが、メイド喫茶がメディアを通じてどのように伝えられているのかを、大量の雑誌記事やドラマや報道での露出等の資料から調査されている労作です。

2.論考編

論考編では、思想誌顔負けのガチ批評が並びます。読み終わってみると、かなり固い論考が並びますが、共通するのは結局のところ、みんな、メイド喫茶が好きなんだなと思いました(笑) 「メイド喫茶が好き」ということを伝えるためだけに、これだけの文字数と情熱が投下されていることに胸が熱くなります。

  • メイド喫茶の条件
    • ハンナ・アレントの「人間の条件」を援用しつつ、メイド喫茶における人間性の獲得と感情労働のパロティ化を論じていると思ったら、結局、一人の魔女さんに捧げられた論考だったと本人がTwitterで告白していた3万字の大作です。

  • 二・五次元性をめぐって
    • 「なぜ喫茶店にメイドがいるのか」という問いから始まり、メイド喫茶の魅力を二・五次元性という観点で分析した論考です。メイド喫茶という虚構の世界がどのような位相にあるかを、某夢の国との対比から論じ、現実の直接の延長線上にありながら、虚構と現実の同時に持つことによるメイド喫茶とそこにいるメイドの魅力が論じられています。
  • メイド文化と音声学
    • 音声学の観点から、前半はメイドの名前の音声学的分析からメイドの持っている自己像を分析し、後半ではメイドの声の特徴を分析しています。意外な結論とともに、音声学の方法論も知ることができる論考です。

3.エッセイ

  • 秋葉原のメイドカフェが文化になるには 再考
    • 秋葉原文化を作る上で、メイド喫茶をその中にどう根付かせるかを論じたエッセイです。最近の課題などにも触れつつ、秋葉原の街づくりの観点からメイド喫茶の将来を論じています。
  • 世界最先端の現場の知恵
  • キモオタによるメイド喫茶恋愛論ーー地獄の門の向こうに
    • この2つは、メイド喫茶という2.5次元に囚われてしまった男たちの生きざまについてのエッセイです。若干、上級者向けのニオイがするので、この2つはメイド喫茶に何回か行ってみてから、ここだけ見直してニヤニヤするのが正しい読み方かなと思っています(笑)

以上のような非常に濃い内容で、ざっくり内容を紹介するだけでも一苦労です(笑)

最初にも触れましたが、こちらの本はComic ZIN等の同人ショップにて手に入れることができます。

また具体的なメイド喫茶紹介としては、このブログでもインフラエンジニアのためのメイド喫茶紹介と称して「キュアメイドカフェ」や「シャッツキステ」などを紹介したこともあるので、興味がある方がいたらこちらも合わせてご覧ください。

また、購入の際は「汝はエンジニアのような名状しがたい何かなりや?」と、合わせてご検討いただけると幸いです。*2

それでは、長くなったのでこの辺で。

これからメイド喫茶に行く人、メイド喫茶やアキバ文化を語る上では必携の一冊だと思いますので、興味がある方には是非おすすめしたい一冊でした。


<追記> 書誌情報や執筆者の情報は、執筆&編集をされたたかとらさんのブログをご参照くださいm(__)m

<追記2 9/1 7:01>

『メイドカフェ批評』での執筆者の立ち位置について、たかとらさん、岸井さんがTwitterで補足のコメントをされていたので、紹介させてもらいたいと思います。筆者ごとに微妙な距離感で批評をされているところも、この本の見所の一つだと思っています。

*1:ただし、136ページ

*2:宣伝乙